何のために来たのか

2012.01.15

自由に定義づけするなんて野暮なことは、本当は避けたいけれども、話は具体的なのがいちばんだ。そこで自転車旅の素晴らしき自由のひとつは、道を走りながら、自動車や単車よりも格段に随意的に止まったり寄り道したりできることである、と言ってしまおう。たとえば旧い町並みに入り込んだとする。本当に魅力的な旧道は、モータリゼーション以前に造られたものがほとんどだから、要するに狭いことが多い。歩きなら別だけれど、そういう道に自動車で入り込んだら、さてどうなるでしょう。

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「あれ?一方通行だったかな。ん?対向車が来たぞ。大丈夫かなあ。軒先に当たりそう……ああなんとか。あ、いい感じの陶器屋さんがあるな。駐車場ないかな。ないか。げっ、また対向車、でかい四駆だ。うわ!まだこの道続くのか。……まあまた来る機会もあるしさ、次のところでお土産買えばいいよね」という感じで、いったい何のために来たのだがわからなくなってしまう。いちばん良いはずの道が、いつのまにか早く逃げ出したい道になってしまうのである。