最新の研究成果によって、肥満には遺伝子に起因する要素と、生活習慣や環境に起因する要素があることが分かってきました。「NARL効果」についても、慈恵医科大学における照射実験では平均12%、最大で2O%の皮下脂肪の減少が見られましたが、5%以下しか減らないヒトが10人中三人いました。ソウル保健大学での実験でも、効果が出ない人が三〇人中八人いました。ヒトの遺伝子は約三二〇〇〇種あり、そのうち肥満関連の遺伝子は、約四八種類あるといわれています。この分野で世界的な業績をあげている京都府立医科大の吉田俊秀教授は、すでに個人毎の「肥満遺伝子」を測定し、テーラーメイドの最適な肥満医療を行っています。四八種類の肥満遺伝子のうち重要なのは三種類で、まず、約34%の日本人が持つアドレナリン受容体遺伝子」は、安静時のエネルギー代謝量が、通常より200kcal低くなる働きをします。また、「UCP1遺伝子」(脱共役タンパク質)を持つ日本人は約25%おり、安静時の代謝量が80kcal低いことが分かっています。この両者は、エネルギーの消費量を少なくする働きをするので「節約型遺伝子」と呼ばれ、その保有者は太りやすくなります。これと反対に、アドレナリン受容体遺伝子」を持つ人は、安静時のエネルギー代謝が約200kcalと盛んなので、やせやすいのです。教授の研究によれば、「ベーダ2」「ベータ3」の両方を持つ人は、遺伝子の働きが相殺されますが、太りやすい遺伝子を持つ人は、さらに食事制限を徹底することによって肥満治療の効果をあげているそうです。