英語話者とのコミュニケーションにおいて、日本人が自己主張できないとよく言われるのは、単に英語が下手だとか、自分に自信がないからとかいったような問題ではなく、むしろ、相手の出方をうかがい、相手の考えを察して、それに同調していこうとするコミュニケーションのスタイルがわたしたちにしみ込んでいるからであり、また、あえて自分の方から強く主張せずとも、相手が察してくれるだろうという相互依存的な関係に慣れているからです。最初から自己を主張していくのではなく、こちらの主張に対する相手の反応を予測するために、まず相手が何者であるのかを感じ取り、それに同調していこうとするのが日本人のやり方なのです。例えば、熱心に英会話スクールに通っているようなタイプの人々には、えてして言葉だけではなく、英語話者の大仰な身振りや表情までをも模倣していく傾向が見られるように思います。わたしたちの日常のふるまいには全くなじまないような大げさな感情表現は、周りから見ているだけでも気恥ずかしい気分になりますが、やっている当人にだって最初は躊躇があるはずです。英語を習うのなら、純粋にその言語としての体系やシステムを習えばそれでいいはずなのに、ついつい相手の態度やふるまいにまで自己を同調していこうとするのは、日本人に著しく見られる特徴です。